
犬の歯石取り
column
速い?遅い?歯石の付きやすさ
歯磨きをしていても、じわじわと付いていく歯石。
何匹もワンちゃんを飼っているお宅では、同じようにお世話をしていても歯石の付くスピードが違うことがありますよね。
これってなんででしょう?
歯石の付きやすさって何が関係しているのでしょう?
要素はいろいろ

歯石の付きやすさ…の前に、歯石がどうやって付いていくかご存知ですか?何もないところに、突然歯石が出現するわけではありません。
歯石の大元は『歯垢』。そして歯垢の大元は『菌』。これを踏まえて、今回のお話を進めていきます。
歯石の付きやすさというのはいくつかの要素が関係していると考えられています。
唾液
お口の中の歯垢は、そのままにしておくと唾液を浴び続けます。唾液の中にはカルシウムやリンと言った無機質が含まれていて、それらが歯垢にくっつくと鎧のように固くなっていきます。こうして歯石が出来上がります。
こんな厄介な物質の入った唾液ですが、実は量がたくさん分泌されると、お口の中の汚れを洗い流すという効果が出ます。
ワンちゃんの唾液にはサラサラしたものとネバネバしたものの2種類あり、サラサラしていて分泌量が多いとこの作用がはたらくと言われているので、唾液がたくさん出て、それもサラサラしているワンちゃんは、歯石がつきにくいと言われます。
飲水量
私たちヒトは、歯磨きの際に口をゆすいで泡を洗い流しますが、ワンちゃんにはそれができません。でも、お水をたくさん飲むことで唾液と同じように、お口の中を洗い流すことができると言われています。
ご飯の種類も飲水量に関係していますが、あなたのワンちゃんはお水、たくさん飲んでいますか?
食べ物
『よく噛んで食べなさい』と言われたことはありませんか?ご飯をしっかり噛んで食べると、様々なメリットがあると言われていますが、やはりここでも挙げられるのが『唾液の分泌』。
よく噛んで食べることで、唾液が分泌されるので前述のような効果が期待できます。フードでは、ウェットフードよりドライフードの方がたくさん噛む必要があります。
おやつでいうと、よく噛んで食んで食べないといけないような硬さのあるもの…例えばガムなどがそうですね。
また、繊維質なものは、噛むことで線維に汚れがくっつくので、口の中をきれいにする効果があります。
菌
善玉菌と悪玉菌がお口の中には存在しますが、バランスを取ることが大事。悪玉菌が増えすぎると、善玉菌が活動できなくなりお口の中が大変なことに。また悪玉菌の中のカンジダ菌という菌は、その形状から、他の悪玉菌を集めてしまうので歯垢ができやすく、歯周病にもつながります。
どれも『絶対』ではない

さまざまな要素を紹介してきましたが、歯石の付きやすさというより、歯垢の付きやすさのお話だったと思います。
でも、付きにくい要素をワンちゃんが持っていてもそれは『絶対付かない』というわけではありません。
また飼い主さんの努力では、どうしようもないことだってありますよね。
例えば飲水量。今日から飲み水を増やしても、ワンちゃんがいきなりガブガブお水を飲むわけではありません。
ガムだって、好きなワンちゃんと興味がないワンちゃんに分かれると思います。
そこで始められるのが『歯磨き』です。歯磨きは、今日から始められる自宅ケア。歯ブラシやシートで直接歯垢を取り除くことで、歯石の原因を減らすことができます。
もちろん初めて歯磨きをする場合、初回から上手くいくとは限らないので、ワンちゃんや飼い主さんの状況にあったケアの仕方を選択しましょう。全部は磨けなくても、続けることが大切です。
歯磨きデビューは病院で
当院では、飼い主さんとワンちゃんの『歯磨きデビュー』を応援します。歯磨きを始めたくても、やり方が分からない。歯磨きでなんとかなる汚れなのか心配。といった不安があると思います。
まずは当院で1度お口の状態をチェックしてみませんか?歯石取りが必要なのか、歯磨きで大丈夫なのかなども含めてお話しさせていただきます。
もちろんケアの相談もOKです。
お気軽にお越しください。