
犬の心臓病
column
苦しそう…ワンちゃんと呼吸困難
遊んでいるとき、お散歩しているとき、スヤスヤ眠っているとき…人間はもちろん、ワンちゃんたちも生きていくために必要なのが呼吸ですよね。
呼吸が早くなったり、遅くなったり…はよくあることですが『肩で息をしている』『すぐに息切れする』『いつもより呼吸が早い』といった呼吸の異常が見られることがあります。
息ができなくて苦しそう!
実はそれ、病気が関係してるかも?
あなたのワンちゃん、最近呼吸が『おかしい』こと、ありませんか?
おかしな呼吸って?

いつもは気にならないのに、ワンちゃんが急にゼィゼィと息をし始めると大丈夫かな?と不安になりますよね。
『呼吸がなんだか早い』『ハァハァが止まらない』といった相談が寄せられることもありますが、そもそも、ワンちゃんって1分間にどのくらい呼吸をするのかご存知でしょうか?
個体差はありますが、1分間に大体10~30回すると言われています。
目安として小型犬では1分間で25回前後、大型犬では15回前後だと覚えておきましょう。自宅で大人しくしているときに、1度測ってみるといいかもしれません。
ワンちゃんの呼吸が早くなると言えば、散歩中や運動中などを連想される方も多いのではないでしょうか?
特にフレンチブルドッグやパグなどの短頭種では、興奮したときにすぐ息が上がっちゃう…ということもしばしばあります。
運動時や散歩から帰ったあとなどでハァハァと息をすることがありますが、これはパンティングと呼ばれ、上昇した体温を下げるために行われるもの。一時すると落ち着き、また元の呼吸に戻ります。
これ以外で、ワンちゃんに『呼吸が早い』『頻繁に呼吸している』といった症状がみられる場合、病気が関係していることが疑われます。
感染症などで熱が出ている場合や、気管支炎など気管にトラブルが起きている場合もありますが、中には突然亡くなるような怖い病気…『心臓病』が関係していることも。
心臓病で『息ができない!』

以前、ワンちゃんの体のむくみについてお話したことがありました。体に存在する水分がむくみと関係しているといった内容でしたが、心臓病による呼吸困難にもこの水分、特に血液に含まれる水分が大きく関わってきます。
まずは血液の流れについてお話しします。
肺からやってきた血液は、肺静脈を通り左心房へ送られます。その後、左心室と大動脈を通り全身へ送り出されますが、心臓病によって全身に血液を送り出す力が弱くなったり、心臓の中で血液が逆流したりすることで、血液がスムーズに流れずに、肺静脈や左心房で血液が渋滞を起こします。
血液の渋滞が起こると、肺動脈の血圧が上がり、肺にある毛細血管から水分がじわじわと染み出し、肺にどんどん水が溜まるようになります。
これを肺水腫と呼びます。
肺に水が溜まることで、1度の呼吸で取り込める酸素の量が減ってしまうため、ワンちゃんは頻繁に呼吸をして酸素を取り込まなければならなくなります。
そのためワンちゃんの呼吸が早くなったり、呼吸の数が増えたりという症状が現れるのです。
この他にも、口を開けて呼吸したり舌や歯茎が白、若しくは青紫色になるなどの症状が出てくることがあります。また、横になるとさらに苦しくなるため、お座りの状態や立ったままの状態でいることが多くなります。
心臓が悪いのかな?と思ったら
なんだか呼吸が荒いな…と思ったら、呼吸をどれくらいしているか?口の中の色は正常か?などワンちゃんの状態を確認してみましょう。この他にも、いつもより元気がない、動きたがらない、咳をしているなど症状が出ている場合はすぐに診察を受けましょう。
肺水腫を引き起こす心臓病では、心臓病の『程度』が進んでいることが多く、残念ながら完治させるのは困難です。
しかし、心臓病は初期の段階で発見できれば、お薬ではなくサプリメントで対応することが可能な場合もあります。
特に症状が出ていなくても、『隠れ心臓病』としてこっそりワンちゃんを蝕んでいることも。
ちょっと気になるな…と思ったら、当院にご相談ください。
