
犬の心臓病
column
おデブじゃない!体のむくみ
『仕事終わりにふくらはぎが・・・』
『飲み会の次の日は顔が・・・』
こんな経験、ありませんか?
日常生活の様々なシーンで起こる『むくみ』。
あちこちパンパンになって辛いのは、私たち人間だけではありません。そう、ワンちゃんでもむくみは起こるのです。
なんか最近太ってきたというワンちゃん、それはむくんでいるのかもしれません。どうして体がむくむの?そのままにしておいて大丈夫?
今回はワンちゃんの体の『むくみ』についてお話しします。
むくみって?

でも、むくみってそもそもどういう状態なのでしょうか?
私たちはもちろん、ワンちゃんの体の中には水分があります。その水分は『体液』という名前で細胞と細胞の隙間や血液中に存在しています。
通常、細胞の隙間にある体液は毛細血管を通して行き来しているのですが、何らかの原因で体液の行き来がスムーズに行われなくなり、細胞に溜まってしまったときに『むくみ』が発生します。
冒頭でお話ししたようなふくらはぎのむくみでは、同じ姿勢を取り続けたために、血行が悪くなることで起こると言われています。
ワンちゃんでも、自分で寝がえりをうてず同じ姿勢で寝続けることや、包帯などで手足を強く圧迫されたときにむくみが発生することがあります。
これは寝返りを打たせてあげることや、動かさなくなった手足をマッサージすること、きつく巻いてしまった包帯を緩めることなどで改善がみられます。
実際は手や足、時には顔などがパンパンになり、左右で太さが異なったり、お饅頭のような手先になったりするので、飼い主さんがびっくりすることも。
でも、むくみは姿勢や外部からの圧迫でおこるものだけではありません。中には病気の症状として現れている場合があります。
どんな病気がむくみと関わってくるのでしょうか?
むくみが起こる病気

ワンちゃんがむくみを起こす病気は、肝臓や消化器などが関係することもありますが、多くみられるのは腎臓や心臓の病気です。
今回は、心臓のお話をしておきます。
心臓の働きは、全身に血液を送り出すことです。通常は心臓から動脈を通り、毛細血管を経て静脈を通り心臓へ戻ってくるのが一連の流れです。
でも、血液を送り出すパワーが弱まると血液がスムーズに流れないので、心臓に帰ってきた血液を肺へ送り出すことができずに、車が渋滞するように静脈に血液が溜まっていきます(うっ滞)。
うっ滞が起きると、静脈の血圧が上がり、血液内の水分が血管の外へ移動してしまうので、手足をはじめとする体のあちこちにむくみが起こることになります。
また、血液を送り出すパワーが落ちることで、腎臓に流れる血液の量も低下し、それに反応してホルモンが分泌されます。
このホルモンには、ナトリウムや水分を保持する働きがあるので体に余剰に水分をとりこんでしまい、むくみが起こることに繋がります。
治療が必要??
うちの子にもむくみが!と思った飼い主さん、そのむくみはどこに出ていますか?全身?それとも足先だけ?たまに、顔がむくんでいると思ったら実は『歯周病』で腫れていたというケースがあります。また、ワクチンを打った後に顔がむくんでいたら、それはワクチンアレルギーの可能性が!
どちらも病院へ急ぎましょう。
心臓病でむくみが出ている場合、ぐったりしている、食欲がないなど他にも症状が出ている場合があります。
その場合もすぐに病院で診察を受けましょう。むくみを取るために、注射や飲み薬による治療が考えられたり、状態によっては入院が必要になったりすることもあります。
心臓病は静かにやってくる病気なので、初期のうちに対処することが大切です。少し気になるな…と思ったら当院へご相談ください。
