犬の歯石取り
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その歯磨きは激痛かも?歯周病の痛み
歯周病の予防として、一番に挙がるのが『歯磨き』。歯磨きをしようと思っていても、なかなかさせないワンちゃんもいることでしょう。
でもそれって、ワンちゃんがワガママを言ってると思っていませんか?良かれと思って磨いていたけど、実はワンちゃんにとっては激痛だったのかも!
今回は歯周病の『痛み』について少しお話ししていきます。
イヤなのは『痛み』があるから?
お口の臭いが気になってきた、歯の汚れが気になる・・・そんな日常生活でのサインをきっかけに、ワンちゃんの歯磨きを始めようと思う飼い主さんは少なくないのではないでしょうか?
病院で歯石取りをしたり、トリミングショップで歯磨きをしたり、ワンちゃんの歯を扱ってくれる場所が増えてきました。
でも、いざ自宅で歯磨きをしようとして『イヤ!』と全力で拒否されたことはありませんか?
その『イヤ!』の中に、実は『痛み』からくるものがあるのです。
以前、ワンちゃんのお口で歯周病が起こると様々な症状が出るというお話をしました。初期の段階では歯肉が腫れる、重症になるとアゴの骨が溶けて顔が腫れるなど症状は様々です。
一貫して言えることは、どの症状にも『痛み』が関わっていること。
稀に、触ってもジッと耐える我慢強いワンちゃんもいますが、ほとんどのワンちゃんでは歯周病で痛みが出ているため、口を触られたくないのです。
歯肉が腫れて『痛い』。
アゴの骨が腫れて『痛い』。
顔が腫れて『痛い』。
歯周病にかかるとお口の中は痛みのオンパレード。わかりやすいのが、ご飯を食べられなくなるという症状。がつがつ食べていたワンちゃんでも、歯周病でお口が痛いため食べられないのです。
また、歯周病の歯肉は通常の歯肉と比べ脆くなっています。そのため、歯ブラシで擦れるとすぐに削れて出血してきます。
そんな弱った歯肉の状態で、毛先がチクチクする歯ブラシをゴシゴシと当てられるのですから、ワンちゃんとしては『勘弁してください!!!!』という気持ちなのでしょう。
だから必死に抵抗するのです。
歯磨きが『絶対イヤ』になる前に
せっかくワンちゃんの健康を考えて歯磨きに取り組もうとしても、このような状態でお口を触ろうとすると『痛いのに飼い主さんが触ってきて、もう口は触られたくない』と以降お口を触らせてくれなくなるというケースもあります。
では、どうしたらいいのでしょう?
まずは病院で診察を受けましょう。どこが痛いのか、どうして痛いのかを調べることが大切です。
歯周病でお口の中が痛いというケースは多いですが、歯が割れて痛みが出ている場合や、歯周病菌が関係した口内炎で粘膜を痛めているなど、原因はさまざま。
痛みの原因に合わせて、塗り薬や飲み薬を使うなどして、まずは痛みを取ってあげましょう。歯周病の場合は、歯周病菌をどれだけ減らせるかが重要になってくるので、痛みが取れたら、歯磨き剤などを指で優しく塗って菌をやっつけていきましょう。
塗っているうちに、徐々に歯肉の腫れや出血などが治まるので、指で塗るケアからシートでのふき取りや毛先が柔らかい歯ブラシなどを使ったケアへ移行していきましょう。
一番いけないことは、原因に対する治療をしないこと。お薬を使うことで一時的に腫れや痛みは治まりますが、原因である『歯周病』などの病気の治療をしないことには、何度も同じ症状を繰り返し、ワンちゃんが痛みに振り回されて苦しむことに…。
その場しのぎで薬を使うのではなく、痛みの原因と向き合いましょう。
『痛そうだな…』と思ったら
今回はワンちゃんの『お口の痛み』に関してお話ししてきました。あなたのワンちゃんにこんな症状はないですか?
『お口が臭く、口を触らせようとしない』
『ずっと歯磨きしていたのに最近嫌がる』
『ご飯を食べるスピードが落ちた』
もしかしたらそれは、お口が痛いのかも。
歯周病の場合は、放置することでどんどん症状が悪化して、最終的にこれが原因で死んでしまうことも。
症状にピンときたら、まずは当院へお越しください。あなたと一緒に、ワンちゃんの痛みの原因と闘います!