犬のアレルギー治療
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飲み続けて大丈夫?ステロイドの副作用
ワンちゃんの『お肌のかゆみ』。
掻きすぎて真っ赤になっていたり、ポリポリがなかなか治まらない…そんな時に処方されるお薬のひとつにステロイドがあります。
かゆみ止めとしては非常に優秀なこのお薬ですが、使っている飼い主さんからは『ずっと飲ませていて副作用がないか心配』という声も。
便利なお薬である一方で、使いすぎると大変なことに。
今回はアレルギーで処方されるお薬、ステロイドの副作用についてお話ししていきます。
どんなお薬??
ポリポリ…ガリガリガリ…
部屋のどこからともなく聞こえてくるワンちゃんがお肌を掻く音。
アレルギー、特に酸性肌アレルギーでは強い痒みがワンちゃんを襲うことが多く、必死になってかゆいところを掻くというのが日常茶飯事です。
長くこの症状を見てきた飼い主さんでは、音を聞くだけで、動作を見ただけで「うんざりする」といった声も。
そんな激しいかゆみをウソのようにピタッと止めるお薬、それがステロイドです。
ステロイド…人間のお薬でも耳にしたことがある方もいるかもしれません。
カッコよく言うと『糖質コルチコイド』と呼ばれる、体の中でも作られる物質を合成したお薬です。
体内で放出される炎症のもととなる物質を作らせないようにすることで、様々な炎症に効果を発揮します。
中でもアレルギーによる炎症を止める効果は高く、掻きむしったお肌の炎症を取り除き、かゆみを抑えることができます。
副作用もすごい!
炎症を取り除いてかゆみがピタッと治まるとは…『なんて便利なお薬!!』そう思う飼い主さんも多いことでしょう。
確かに今までひっきりなしに掻いていたのが止まるなら、ずーーっと飲ませていたいですよね!
副作用さえなければ…。
『ステロイドをずっと飲ませてて、この子の体が心配で…』
こんな風にお肌のトラブルを抱えた飼い主さんからよく言われます。
そう!ステロイドは長い期間飲ませ続けることによって、命を脅かすような副作用がワンちゃんを襲うことが分かっています。
1つずつ見ていきましょう。
ステロイド性肝炎
お薬は肝臓で分解しておしっこにして体外へ排出するものが多いですが、ステロイドもその一つ。長期にわたり飲ませ続けることで肝臓に負担がかかり、動かなくなってしまいます。
肝臓はお薬を分解するだけでなく、体を動かすのに必要な『糖』を貯めておく場所でもあるため、ステロイド性肝炎が起こることで、元気がなくなったり、ご飯を食べなくなるなどの症状が出ることも。
糖尿病
体を動かすために必要な『糖』ですが、通常は使う分だけ取り出して、余った分は貯めるといった代謝が行われていますが、ステロイドがこの代謝に割り込みます。血液中に糖を放出させ(血糖値の上昇)、結果糖尿病を引き起こします。
クッシング
副腎皮質機能亢進症とも。ステロイドである糖質コルチコイドは、体の中の副腎と呼ばれる部分で作り出されます。体の中でも作られ、ステロイドとしても摂取することで『糖質コルチコイドが多い!』と体が悲鳴を上げることになります。
それが原因で、脱毛や皮膚が薄くなってしまったり、お腹が膨れたり(太鼓腹)、最悪の場合心臓が止まったりすることも。
また、かゆみを止めたからと言ってワンちゃんのアレルギーが治ったわけではありません。
原因は取り残されたままなので、薬を止めるとまた激しく掻きだす、掻くからステロイドを飲ませるといった悪循環に陥ります。
根本的に解決するなら
かゆみがひどくてなかなか治まらない…。一時的にステロイドを使って、ワンちゃんを楽にしてあげるのも一つの手ではあります。
しかし、ステロイドを飲めばかゆみが治まるからと言って、長期間飲ませ続けることで先ほど挙げたような副作用が出てワンちゃんの体はボロボロに…。
そうなる前に、当院でアレルギーの治療を始めませんか?
当院では何が原因でワンちゃんのお肌にトラブルが起きているのかしっかり検査し、ステロイドを含めたお薬はできるだけ使わずに症状を改善させる治療を行っています。
「ステロイドを飲ませているけど、やめるとすぐ掻きむしる」
「ずっと飲ませることに抵抗がある」
そんな不安を抱えた飼い主さん、副作用でワンちゃんがさらに苦しむ前に、当院の『体に優しい治療』を試してみませんか?