<心臓病>
ステージごとの治療方法
心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)の病状の
重症度分類について
僧帽弁閉鎖不全症の病状の重症度は5段階。
臨床症状がなく、食事療法とサプリメントだけでお薬の必要のない「ステージA・B1」の2段階と、「咳が出る」「動きたがらない」などの臨床状が認められ、内科的治療が必要な「ステージ B2・C・D」の3段階の合わせて5段階です。
それぞれの段階で注意点や治療が変わります。
僧帽弁閉鎖不全症(心不全)の
重症度ステージ
-
ステージA
<臨床症状>
- 心雑音はない
- 歯周病で口が臭い
- なんとなく元気がない
- 散歩の距離が短くなった
<治療目標>
ステージB1に悪化させない
-
ステージB1
<臨床症状>
- ごく軽度の心雑音がある
- 心拍数がいつも早い
- 呼吸がいつも早い
- 手足が冷たい
<治療目標>
ステージB2に悪化させない
-
<ステージA・B1>
食事療法とサプリだけで病状の進行を抑える
-
ステージB2
<臨床症状>
- 軽度の心雑音がある
- 痰の絡んだような咳をする
- 興奮すると舌が青くなる
- すぐ息切れをする。
<治療目標>
投薬によって心臓の負担を軽くし、ステージCに悪化させない
-
ステージC
<臨床症状>
- 心雑音がある
- 激しい咳が出る
- 呼吸が異常に早い
- 興奮すると失神する。
<治療目標>
利尿剤による腎臓への負担をできる限り軽減させる
-
ステージD
<臨床症状>
- 心雑音がある
- ずっと激しい咳が出る
- 呼吸が異常に早く時々呼吸がキツくてジッとしていることがある
- 咳がひどい時や興奮すると失神する。
<治療目標>
突発性の肺水腫の治療のために利尿剤の注射を習得する
-
<ステージB2・C・D>
食事療法とサプリだけでなく内服薬が必要
食事療法とサプリだけで病状の進行を抑える
食事療法とサプリだけでなく内服薬が必要
ごとふ動物病院の
ステージごとの治療について
ステージA・B1の犬ちゃんの心不全ケアは、食事療法とサプリで病状の進行を抑えることが基本的な考えです。つまり、塩分制限をし、肥満にさせない食事をし、サプリで心臓の負荷を軽減させることによってステージAの子はステージB1に進行させない。ステージB1の子はステージB2に進行させないことを目標とします。
ステージA
- 臨床症状
- 心雑音はない。歯周病で口が臭い。なんとなく元気がない。散歩の距離が短くなった。
- 検査
-
- 心筋バイオマーカー(BNP検査):異常がある(900以上)
- 心エコー(超音波検査):異常はない
- レントゲン検査:異常はない
- 血圧検査:異常がある場合がある(150mmHg以上)
- 治療
-
- お薬:必要はない
- 食事療法:塩分を制限した食事
- サプリメント:「心臓サプリ」と「らくらくオイル」でコントロール
- 運動
- 特に気をつけることはないが、ドックランなどでの激しい運動は30分程度。
- フォロー検査
- 1年に1回のBNP検査。6ヶ月に1回の心エコー検査と血圧検査で心不全が進行していないかチェックする必要があります。
ステージB1
- 臨床症状
- ごく軽度の心雑音がある。心拍数がいつも早い。呼吸がいつも早い。手足が冷たい。
- 検査
-
- 心筋バイオマーカー(BNP検査):異常がある(900以上)
- 心エコー(超音波検査):異常がある
- レントゲン検査:異常はない
- 血圧検査:異常がある(150mmHg以上)
- 治療
-
- お薬:必要はない
- 食事療法:塩分を制限した食事
- サプリメント:「心臓サプリ」と「らくらくオイル」でコントロール
- 運動
- 特に気をつけることはないが、ドックランなどでの激しい運動は30分程度。
- フォロー検査
- 1年に1回のBNP検査。6ヶ月に1回の心エコー検査と血圧検査で心不全が進行していないかチェックする必要があります。
ステージB2・C・Dの場合
残念なことに、もうすでにステージB2・C・Dにまでステージが進んだ犬ちゃんには食事療法とサプリだけでは心臓を助けることはできなくなっています。内服薬(トリプルセラピーなど)を使って病状の進行を抑えます。
また、トリプルセラピーは、腎臓に相当の負担を強いるので、日々の心拍数や呼吸数、心エコーや血圧を測定して、できるだけ最小量の内服薬で心臓を良い状態にコントロールして、元気に長生きに過ごしてもらことを治療目標としています。
ステージB2
- 臨床症状
- 軽度の心雑音がある。痰の絡んだような咳をする。興奮すると舌が青くなる。
すぐ息切れをする。
- 検査
-
- 心筋バイオマーカー(BNP検査):異常がある(900以上)
- 心エコー(超音波検査):異常がある
- レントゲン検査:心臓(左心房)が大きくなり始める(VHSが11.5以上)
- 血圧検査:異常がある(150mmHg以上)
- 治療
-
- お薬:投薬の開始
強心薬(ピモペンダン)の投薬で心臓の動きを助けるとともに、血圧が高めの犬ちゃんには血管拡張剤(ベナゼプリル and/or アムロジピン)で僧帽弁閉鎖不全症で苦しむ体を楽にしてあげます - 食事療法:塩分を制限した食事
- サプリメント:「心臓サプリ」と「らくらくオイル」でコントロール
- お薬:投薬の開始
- 運動
- 歩く散歩には時間制限はない。しかし、ドックランなどでの激しい運動はあまりしない方が良い。
- フォロー検査
- 6ヶ月に1回のBNP検査。2ヶ月に1回の心エコー検査と血圧検査で心不全が進行していないかチェックする必要があります
ステージC
- 臨床症状
- 心雑音がある。激しい咳が出る。呼吸が異常に早い。興奮すると失神する。
- 検査
-
- 心筋バイオマーカー(BNP検査):異常がある(900以上)
- 心エコー(超音波検査):異常がある
- レントゲン検査:心臓(左心房)が大きい(VHSが11.5以上)
- 血圧検査:異常がある(150mmHg以上)
- 治療
-
- お薬:トリプルセラピーの開始
強心薬(ピモペンダン)+血管拡張剤(ベナゼプリル and/or アムロジピン)
+ループ利尿剤(トラセミド)の投与を開始し、咳を鎮め、心臓の負担を軽減させます。 - 食事療法:塩分を制限した食事
- サプリメント:「心臓サプリ」と「らくらくオイル」でコントロール
- お薬:トリプルセラピーの開始
- 運動
- 10分程度の軽い散歩は、左房内圧を下げることができるので行った方が良い。
但し、ドックランはダメです。
- フォロー検査
- 6ヶ月に1回のBNP検査。2ヶ月に1回の心エコー検査と血圧検査で心不全が進行していないかチェックする必要があります。
また、腎不全が合併している場合には、2ヶ月に1回の血液検査で腎不全の病状が進行していないかチェックする必要があります。
ステージD
- 臨床症状
- 心雑音がある。ずっと激しい咳が出る。呼吸が異常に早く時々呼吸がキツくてジッとしていることがある。咳がひどい時や興奮すると失神する。
- 検査
-
- 心筋バイオマーカー(BNP検査):異常がある(900以上)
- 心エコー(超音波検査):異常がある
- レントゲン検査:心臓(左心房)が大きい(VHSが11.5以上)
- 血圧検査:異常がある(150mmHg以上)
- 治療
-
- お薬:トリプルセラピー+「肺水腫」のコントロール
強心薬(ピモペンダン)+血管拡張剤(ベナゼプリル and/or アムロジピン)+ループ利尿剤(トラセミド)だけでなく、「肺水腫」で起きる咳を利尿降圧剤(フロセミド)や抗アルドステロン性利尿剤(スピロノラクトン)で鎮め、心臓や体の負担を軽減させます。
それでも「肺水腫」が改善しない場合には、降圧利尿剤(ヒドロクロロチアジド)も使用することがある。
- 利尿降圧剤(フロセミド)を使いすぎると、必ず腎不全が起きます。
腎不全を合併させないためにも、これらの利尿降圧剤は極力少なくすることが大切です。
腎臓の数値が悪ければ1ヶ月に1回、腎不全の血液モニタリングするだけでなく、安静時呼吸数を計測して、呼吸状態が良ければ、これらの利尿降圧剤を極力減らす必要があります。 - 肺水腫のコントロールが難しい場合は、自宅で利尿降圧剤(フロセミド:ラシックス)の皮下注射も自宅で実施してもることもあります。
- 食事療法:塩分を制限した食事
- サプリメント:「心臓サプリ」と「らくらくオイル」でコントロール
- お薬:トリプルセラピー+「肺水腫」のコントロール
- 運動
- 10分程度の軽い散歩は、左房内圧を下げることができるので行った方が良い。
但し、ドックランはダメです。
- フォロー検査
- 6ヶ月に1回のBNP検査。1ヶ月に1回の心エコー検査と血圧検査で心不全が進行していないかチェックする必要があります。
また、降圧利尿剤(フロセミド)を使用している場合には、1ヶ月に1回の血液検査で腎不全の合併症の状態をチェックする必要があります。