飼い主さんにもできる
心臓病の6つのチェックポイント

犬の心臓病で最も多い
「僧帽弁閉鎖不全症」は
早期発見
の難しい病気

犬

「僧帽弁閉鎖不全症」は、初期には表立った症状があらわれにくく、症状が出始めると一気に悪化してしまう怖い病気の1つです。

でも、早期発見ができれば、元気に長生き、そして薬を使う時期を遅らせることができるという健康寿命を大きく変化させることができます。


心臓病の6つのチェックポイント

Check 0101心臓の音は?

犬

心臓が正常に動いている時には、心臓から発生する音は「ドッキン・ドッキン」という音以外全く聞こえません。でも、心臓にトラブルを起こすと「ドッキン」ドッキン」以外に「シャー」という音が混ざります。犬の心臓病で最も多い「僧帽弁閉鎖不全症」という病気の場合は、「ドッキン・ドンキン」の間に高音の「シャー」という音が混じるので「ドシャー・ドシャー」という音が聞こえるようになります。
抱っこしている時に、いつもと違う心臓の音が聞こえた時には、必ず心拍数を測ってみてください。安静にしている時の心拍数が速ければ、直ぐに来院することをお勧めします。

心音の聞き方

聴診器があれば心臓の鼓動を聴ければ最高ですが、通常ご家庭に聴診器はなかなかありません。そこで、聴診器がなくても部屋を静かにして、愛犬の左側の胸に直接ご自身の耳を当て心臓の音を聴いてみて下さい。
通常は「ドッキン・ドッキン」という音がします。通常と違う「ドシャー・ドシャー」という音が聞こえたら、心不全が大きく疑われます。


Check 0201心拍数は?

犬

成犬の心拍数は、安静時(リラックスして横になって寝ている時)では、小型犬で60~80回、大型犬で40~50回が正常です。
雑音を起こすような心不全は、犬の場合「僧帽弁閉鎖不全症」が最も多いです。また、大型犬より小型犬の方が「僧帽弁閉鎖不全症」にかかる割合が多いです。
これは、小型犬の方が歯周病になっている割合が多いことが原因しています。もし、安静時の心拍数が80回/分を超えるようなら来院する必要があります。

心拍数の計測方法

心拍数の計測の仕方は、左胸に手を当てて、1分間に何回拍動が感じられるか計測することで計測できます。できるだけ、リラックスして横になって寝ている時に計測すると正確な心拍数がわかります。計測の方法は20秒間計測して3倍すると、1分間の心拍数が計測できます。大腿部の付け根の内側(股動脈)でも測ることができますが、飼い主さんには難しい計測法です。


Check 0301呼吸数は?

犬

心臓病で心臓の血液の流れが悪くなり、全身を巡る血液が少なくなると、脳の活動に必要な酸素が不足し始めます。酸素不足が始まると「酸素をもっとくれ!」と脳が要求します。すると脳は「もっと呼吸数を増やして、酸素を脳に送れ」と肺に命令を出します。心臓にトラブルが起きると必ず呼吸数が増えます。
安静時の犬の呼吸数は小型犬で1分間に20回ぐらい、大型犬では15回ぐらいです。30回を超え始めると「脳が酸素不足」を感じている状態です。40回を超えた時はすごく「危険な状態」です。 直ぐに来院することをお勧めします。

呼吸数の計測方法

呼吸は必ず安静にしている時に測ってください。リラックスして横になって寝ている時が最もベストです。呼吸音がが聞こえにくい時は、胸が膨らむ回数を計測してもOKです。

パンティング

興奮した時や運動をした後、舌を出してハァハァと粗い呼吸をすることがありますが、これは「パンティング」という行動で心不全の呼吸数の異常ではありません。パンティングの時の「ハァハァの場合」は、「4本の脚で立っている」か「伏せ」をしている時になっています。心不全でハァハァしている時は、お座りの姿勢でします。呼吸がさらに荒くなってくると、横になることもできなくなります。


Check 0401散歩の様子は?

犬

心臓にトラブルが起きると「体が疲れやすく」なります。
ワンちゃん達は体が少々「キツくても」飼い主さんの「笑顔」と「嬉しそうな声」を聞きたくて、多少心臓がキツくても散歩に出かけてしまいます。でも、無理をして散歩に行っているので、途中でどうしても休みたくなって座り込んだり、立ち止まったりしてしまいます。これは犬の心臓にとって、もっとも危険な状態です。
もし、少しでも心臓病の疑いがあるなら、散歩は極力短く、ゆっくりした速度で、途中立ち止まってしまうことがあれば、そこで散歩を中止して、抱っこして帰ってあげてください。


Check 0501咳は?

犬

心臓にトラブルが起きると「痰が絡んだような咳」が出始めます。
特に犬の場合は僧帽弁閉鎖不全症と呼ばれる心不全が多いので、人間以上にトラブルの初期から「痰が絡んだ咳」が出ます。この「痰が絡んだ咳」には、心臓喘息と肺水腫があります。
どちらにしても、心臓がトラブル起こしている証拠です。すぐに受診する必要があります。


Check 0601歯周病は?

犬

歯周病と心臓病の関係

ヒトでは、「1日1回の歯磨きより、1日2回以上した方が、心臓病になる確率が1.7 倍も減る」という調査結果が報告されています。つまり、歯磨きをせずに歯周病がひどくなればなるほど、心臓病になるリスクも高くなるということです。犬も人間と同じです。
愛犬の「歯磨き」を毎日される方は少ないので、口の中は歯周病で酷い状態になっていることが多いです。こんな状態では、1.7倍どころかそれ以上の確率で心臓病になってしまうのは当たり前です。

ごとふの歯周病治療について

どんな原因で心臓病になるの?

歯磨きをせずに歯石・歯周病を放置していると、愛犬のお口の中は「歯周病菌」だらけに。歯周病菌が増え続けると、歯肉に炎症が起き、そして出血も見られるようになります。出血が起きると、「歯周病菌」は血管の中へ入り、血流に乗って全身へと飛ばされ、最終的には心臓にまで到達します。心臓にまでたどり着いた歯周病菌は、心膜や僧帽弁などを破壊します。破壊されると僧帽弁は綺麗に閉まらなくなり、血液の逆流が起き、僧帽弁閉鎖不全症という犬に最も多い心不全を引き起こして死に至ります。
ヒトより犬の方が心臓病の発生が異常に多いのは、歯磨きをせずに歯周病菌を放置しているためです。お口をキレイにしておけば、歯周病菌は増えず、心不全で命を落とすことも少なくなります。

犬

チェックして症状が当てはまるようなら、
当院にご相談ください。
心臓病は「早期発見、早期治ケア」で
その後の健康寿命が大きく変わります。