
椎間板ヘルニア
hernia
半導体レーザーを使った体に負担の少ない治療

この頃、ソファーや階段を「ピョン」と飛び上がれなくなった、
抱き上げると、どこに痛みがあるのかわからないけど「キャン」と鳴くなどの症状ありませんか?
あなたの犬にこのような症状が見られたら、椎間板ヘルニアを疑ってください。
最初の72時間が勝負
重度の場合、椎間板ヘルニアによって圧迫された脊髄神経は、72時間以内にその圧迫を解除しないと、たとえ手術をしても、元のように機能を回復することはできません。
もし、手足に全く力が入らず「ぶらーん」としているようであれば、72時間(3日)以内に手術をする必要があります。
72時間を過ぎると、たとえ手術をしても、神経の麻痺が残ることが多いのです。
手足に力が入らないと気づいたら、72時間(3日)以内には当院へお越しになるようにしてください。

ヘルニア治療の流れ
flow
軽度の場合
軽度の椎間板ヘルニアの症状

- 急に階段やソファーが登れなくなった。
- 抱き上げるとどこに痛みがあるのかわからないけど「キャン」と鳴く。
- 急に食欲がなくなった。
- 歩き方が何かぎこちない。
治療について
1週間間隔で3回、椎間板ヘルニアの箇所にレーザーを照射します。(但しレーザー療法には即効性がなく、1週目のみ鎮痛剤を使用することが多いです)
通常、2週間程度で軽度の椎間板ヘルニアは完治します。
治療の流れについて
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初期治療
レーザー療法ならびに1週間の鎮痛剤処方。
自宅での安静。 -
治療開始1週間後
レーザー療法。自宅での安静。
通常、治療1週目で椎間板ヘルニアの症状は緩和します。 -
治療開始2週間後
レーザー療法。通常これで治療終了。
治療2週目では、椎間板ヘルニアは完治していることがほとんどです。
中度の場合
中度の椎間板ヘルニアの症状

- 足がもつれて、上手く歩行ができない。
- 足先の感覚が悪くなり、足の甲が地面についていても元に戻すことができない。
- 排尿が自力でうまくできない。
治療について
3~4日間の入院を必要となります。入院中は絶対安静と椎間板ヘルニアの箇所に毎日レーザーを照射します。
退院後は、軽度の椎間板ヘルニアの治療と同じように、1週間間隔で3回、椎間板ヘルニアを起こしている部分に向けてレーザーを照射します。
治療の流れについて
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絶対治療
椎間板ヘルニアの保護を目的に絶対安静の入院を3~4日間します。入院中は毎日レーザー照射を実施します。
また、損傷している脊髄の保護を目的に、ステロイドの投薬を入院中は実施します。 -
治療開始1週間後
レーザー療法ならびに1週間のステロイド剤処方。
自宅での安静。 -
治療開始2週間後
レーザー療法。自宅での安静。
状態が良ければ、麻痺を起こした後足のリハビリを自宅で開始していただきます。 -
退院後3週間目治療
レーザー療法。通常これで治療終了。治療3週目では、椎間板ヘルニアは完治していることがほとんどです。
もし、麻痺が残っているようなら、リハビリを重点的に行なっていただきます。
重度の場合
重度の椎間板ヘルニアの症状

- 足に全く力が入らない。
- 足の指をつねっても全く痛みを感じない。
- 排尿が自力で全くできない。
治療について
重度の椎間板ヘルニアでは、手術をして早急に圧迫している椎間板物質を取り除かないといけません。
手術は麻痺の症状が見られてから、72時間以内に実施させてください。
72時間を過ぎると、椎間板ヘルニアによって、脊髄神経が壊滅されてしまい、手遅れになることが多いです。
治療の流れについて
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緊急手術と入院
手術前に腰椎穿刺により脊髄造影を行い、椎間板ヘルニアを起こしている部分を特定し72時間以内に手術を実施します。通常入院は7~10日です。
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退院
退院後は、その子の症状にあわせたリハビリ・メニューをお伝えします。
そのメニューに沿って、リハビリをご家庭で実施していただきます。
費用について
cost
初診料ならびに検査料 | ||
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椎間板ヘルニア用レーザー照射 |
5,211円(税込)/回 1回(15分) |
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絶対安静入院 |
約22,000円(税込)/日 ※約3日間の入院が必要となります |
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椎間板ヘルニア手術 |
約325,600円(税込) (検査代・入院代・治療費・手術費含む) |
よくあるご質問
quetion
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- 症状が出たらどうしたら良いでしょうか?
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- 抱き上げると急に「ギャン」となくなど、もしかして椎間板ヘルニアかもと思った場合には、できるだけ早く来院してください。
遅くなれば遅くなればなるほど、症状は悪化しますし、なにより完治するまでに時間がかかります。
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- レーザー治療は、痛いですか?
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- 椎間板ヘルニアの治療には、半導体レーザーを使用します。
このタイプのレーザーは体に奥底までレーザーの効果が届きやすく、また痛みを伴わないのが特徴です。
ですから、処置後は椎間板の痛みが和らぎ元気になって帰って行く子が多いように思います。
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- レーザー治療の様子を、見ることはできますか?
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- 残念ながらお見せすることはできません。
なぜなら、もし誤ってレーザーの光を直接見てしまうと、失明してしまいます。
このような危険性があるため、レーザーをお見せすることはできません。
飼い主様へメッセージ
message
獣医師 藤本愛彦
メディア掲載情報:TV番組「スーパードクター」
出版本:「イヌのアレルギー外来」他計3冊
椎間板ヘルニアの症状といえば、後ろ足がもつれたり、全く立てなくなったりする症状と思われがちですが、重症度合の低い(グレード1または2)の場合は、立つこともできないくらいの重度な歩行障害ではありません。
でも、痛みのため、食欲が減少したり、ジッとして動かなかったり、階段などの段差が登れなかったり、抱きかかえた時にキャンと鳴いたりします。
このような一見椎間板ヘルニアと関係のなさそうな軽い病状の時期に、しっかり診断し、しっかりレーザー治療や自宅での温パックをしてあげれば、手術をするほど悪化することもなく、元の元気な状態まであっという間に回復してくれます。
もし不幸にも手術を必要するほど悪化してしまったら、出来るだけ早めにご来院ください。
当病院の椎間板ヘルニアの手術成功率は9割以上です。
ここ2年間では手術をしたワンちゃん全て、元のように歩けたり走れるようになりました。