
犬の椎間板ヘルニア
column
犬の椎間板ヘルニア 症状について
犬に多く、猫には少ない椎間板ヘルニア

でも、なぜか? 猫ちゃんはほとんど来院されません。なんでなんでしょうね?
骨格の問題なんでしょうかね?
自宅での過ごし方にあるのでしょうかね?
この違いについては、まだ誰も正確な回答を持っている人はいないようです。
ワンちゃんの椎間板ヘルニアとは?

人間と同じようにワンちゃんにも、背骨(椎骨)と背骨(椎骨)の間にある座布団のようなもので、背骨と背骨がぶつからないようにクッションの役割を果たす組織を「椎間板」と言います。
つまり、椎間板ヘルニアとは、この座布団が何らかの原因で壊れて、座布団の中綿の一部が飛び出している状態のことを言います。
飛び出した中綿(椎間板物質)が脊髄神経を圧迫し、その圧迫により頸椎や腰椎に痛みが走り、進行すると手足の「しびれ」や「麻痺」といった症状が現れます。
中綿の飛び出す量によっては、後ろ足に力が入らなかったり、オシッコやウンチができなくなったりします。
椎間板ヘルニアの症状とは?
ワンちゃんの椎間板ヘルニアで最も大事なことは、早期発見し、早期にケアしてあげることです。放置すれば、必ず悪化します。軽度の時期に適切なケアをしてあげれば、必ず症状は改善します。出来るだけ早くケアしてあげるためにも、椎間板ヘルニアの症状について知っておくことは、極めて重要です。
ワンちゃんの椎間板ヘルニアの症状は病気の進行度合によって違ってきます。
軽度

軽度の症状は、見に見える症状が軽いのでよほど注意深く観察していないと、なかなか見つけることができません。
<症状>
- いつもより、ゆっくり歩く。
- 背中を丸める。
- 首をすぼめて、呼んでも首を振り向くのではなく、体ごと振り向く。
- 食欲がない。
中等度
軽度と違い、中等度に進行すると、椎間板ヘルニアについて少し知っていると飼い主さんも「これはもしかして椎間板ヘルニアでは?」と気付けるのが中等度の椎間板ヘルニアの症状です。<症状>
- ソファーや階段を「ピョン」と飛び上がれなくなる。
- 脇の辺りを抱えて抱っこしようとすると「キャン」と悲鳴をあげる。
- 寒くもないのに、後ろ足がブルブル震える。
- 腰や首を触ろうとすると急に噛み付く。
重度

飼い主さんにも簡単にわかるぐらいの異常の症状を示すのが、重度です。「この症状を見過ごす飼い主さんはいないでしょう」と言うぐらいのはっきりわかる異常です。
<症状>
- 後ろ足に力が入らない。
- 立てない。
- フラフラ歩く。
- 前足に力が入らず、頭から倒れる。
- 足の裏が地面につかず、反対を向く。(ナックリンング)
*ナックリング
足先の神経が麻痺し、足裏が地面に接地できているのか?いないのか?わからないほど、全く感覚がなくなった状態を言う。
ナックリンングが起こると麻痺が軽い場合は、爪をすって歩き、爪から出血をする。
重いと足裏(パッドがある面)ではなく、足の甲を使って歩くようになり、皮膚が地面と擦れて出血する。
この症状は、頚椎ヘルニアでは前足に、腰椎ヘルニアでは後ろ足によく認められる。
症状が見られたらすぐに治療を
椎間板ヘルニアは、軽度であればあるほど、治る確率が上がりますし、すぐ治ります。各段階の詳細な治療については、次回の「椎間板ヘルニアの治療」でお話ししますが、ここでは簡単に、まとめ的な自宅でできる治療(自宅ケア)についてお話しします軽度の場合の自宅ケア
首が痛いのか、腰が痛いのか判別する必要があります。首が痛ければ、首を触ると首の筋肉が硬直します。腰が痛ければ、背中の真ん中あたりを触るとその周りの筋肉が硬直します。
場所がわかれば、使い捨てカイロを使って低温やけどに気を使いながら温めます(温パック)。そして、安静。椎間板ヘルニアの治療といえば、この「安静」が一番の治療となります。
そして、椎間板ヘルニアの炎症を緩和させるサプリメントを「コシ・キング」を適切量投与すると良いでしょう。症状が治まらなければ、動物病院でレーザーを当てる必要があります。
中等度の場合の自宅ケア
痛みの場所(椎間板ヘルニア)の位置を判断し、まずは温パック。そして安静。ここまでは軽度の場合と一緒です。そして「コシ・キング」を投与するのですが、できるだけ早めに病院に来院してレーザーを当ててください。早めのレーザー治療が椎間板ヘルニアの悪化を防ぎます。
重度の場合の自宅ケア
自宅で治療している場合ではありません。できるだけ早めに病院へ来てください。完全麻痺が起きてから48時間で手術をしないと治療効果が急激になくなります。温パックではありません。コシ・キングでもありません。早めの受診、そして治療が、車椅子生活にしない唯一の道です。
次回は、椎間板ヘルニアの治療についてです。