
犬のアレルギー治療
column
【最新】犬のアレルギーの原因と治療について(第1回/全5回):犬のアレルギー・アトピーは2つの種類にわかれる
5回のブログにわけて、最新の犬のアレルギーの解説を行っていきます。
(第1回):犬のアレルギー・アトピーは2つの種類にわかれる
(第2回):動物病院が勧めるドックフードは危険
(第3回):アルカリ性肌アレルギーを根治する方法(パサパサ肌の改善)
(第4回):酸性肌アレルギーを根治する方法(ベタベタ肌の改善)
(第5回):愛犬のアレルギー・アトピーで悩んでいる飼い主様へのメッセージ
アレルギー性皮膚炎とアトピー性皮膚炎とは?
アレルギーという言葉は、1906年、オーストリアの小児科医C・P・ピルケが注射した時に患者さんが異常な反応が起きたことから、ギリシア語のallos(他の)とergon(働き)の2つの語を合わせて「アレルギー(Allergie)」という言葉で初めて紹介しています。一方、アトピーという言葉は、ギリシア語の「atopia」が語源で「奇妙な」を意味する言葉で、1933年にアメリカ・ニューヨークのザルツバーガー皮膚科医が初めて使いました。
現在では、アレルギー性皮膚炎とアトピー性皮膚炎の2つの言葉を飼い主さんも獣医師も乱用して使っていますが、最新の論文では、人間ではアトピー性皮膚炎は自然型アレルギーと獲得型アレルギーの2つの種類があることが知られており、治療や研究の場では区別して使用されています。
犬のアトピーも2種類のアレルギーがある
今まで犬のアトピー性皮膚炎は1つの病気として考えられてきました。しかし、私の論文でも報告しているように、人間と同様、犬においてもアトピー性皮膚炎は「2種類存在する」ことがわかってきました。またその原因の多くは食事にあります。粗悪な油を含むドックフードを与えつづける限り、アレルギーは改善することはないでしょう。
タイプ1:アルカリ性肌アレルギー(油を吸収できないアレルギー)
<肌の症状>カサカサ肌、白い粉状のフケ、赤味、背中の湿疹、四つ足の脱毛と赤味。
アルカリ性肌アレルギーと言い、体質的に油をほとんど吸収できない体になっています。
そのため、体にとって必要な油がだんだんと少なくなり、最終的には皮脂を作る油さえ足らなくなり、皮脂が肌全体を覆えなくなっている状態がこのタイプのアレルギーです。
こうなると、アレルゲンや細菌が皮脂の欠けているところから体内に侵入し、アトピー性の皮膚炎が引き起こされてしまいます。
つまり、アルカリ性肌アレルギーの犬の子は、悪い油を吸収・利用できない体になっています。
体の中に貯めてある良い油がなくなれば、正常な皮脂を作ることができず、地肌に分泌する量も自ずと減ってしまいます。分泌量が減れば、地肌全体をキレイな皮脂で包むことができず、皮脂は途切れ途切れな状態になってしまいます。
途切れ途切れになった皮脂は地肌を完全に保護できなくなり、隙間からアレルゲンや細菌が体内に侵入し、アレルギー反応を誘発されアトピー性の皮膚炎が発症します。
タイプ2:酸性肌アレルギー(油を吸収しすぎるアレルギー)
<肌の症状>ベタベタ肌、独特の体臭、地肌の肥厚、体の下半面に症状が集中。
酸性肌アレルギーに分類される犬の子は、体質的に悪い油であろうとなかろうと何でも吸収してしまう体になっています。
吸収された悪い油は皮脂となって地肌から分泌され続けます。分泌された悪い皮脂(悪い油から作られた皮脂)はそれ自体がアレルゲンとなり、アトピー性の皮膚炎が引き起こされてしまいます。
つまり、酸性肌アレルギーの犬の子は、悪い油であろうとなかろうと非常に強力に油を吸収する体質です。
こんな体質であるにもかかわらず、ほとんどのドックフードは粒を触ると指が「ベタベタ」とベタつくほど多量の油が使われています。
悪い油を大量に摂取すれば、肌を覆う皮脂はすべて悪い油に置き替わります(酸性肌アレルギーの犬の子は、独特の油くさい臭いがしまうよね。これが悪い油で作られた皮脂の臭いです)。
この悪い油、つまり酸化した油からできた皮脂がアレルゲンとなって地肌にアレルギー反応を起こさせ、アトピー性の皮膚炎を発症させます。
この状態をわかりやすく例えれば、揚げものをして数日の間放置して腐らせた油を地肌に毎日塗れば、患部は赤く腫れて炎症が起こります。この状態が酸性肌アレルギーの皮膚状態です。