マラセチア真菌性外耳炎(犬のアレルギー治療)|ごとふ動物病院(福岡)

犬のアレルギー治療
column

2014.01.11

マラセチア真菌性外耳炎

マラセチアと痒み

マラセチア真菌は、『酵母様真菌』と言ってパン作りに使用されるイースト菌のような体に害を及ぼさない善玉カビです。

もし、ワンちゃん達が耳を痒がるような仕草をしたら、耳アカがないか、臭いはないか調べてみてください。

マラセチア真菌が異常に繁殖すると、こげ茶色~黒色の特徴的なニオイのあるネットリとした耳アカが一杯でてきます。

耳からカビ(マラセチア真菌)が出たと聞くと、

「先生、そのカビどこからもらってきたの?」
「先生、またカビでたの?」

とよくたずねられます。

飼い主の皆さん。マラセチア真菌は善玉菌です。それ自体が悪さをすることは決してありません。

耳を痒がったり。
耳アカが一杯出たり。
耳がクチュクチュいったり。

これら外耳炎の症状を起こしている原因は、マラセチア真菌ではありません。耳アカ、つまり酸化した皮脂(耳の中に分泌される脂)が残ってしまって、その残った耳アカによって外耳炎が起きているだけです。

だから、お薬(点耳薬)を入れて一旦良くなっても、止めるとまたマラセチア真菌が出て症状が悪化するし、カビとの接触に心当たりがなくても、マラセチア真菌性外耳炎が起こるのです。


マラセチア真菌性外耳炎の治療

マラセチア真菌の外耳炎は、マラセチア真菌が感染したために起こっているものではありません。

ただ耳アカが増え、その耳アカによって外耳炎が起きているだけです。

外耳炎の原因である「耳アカ」をキレイに除去できれば、赤み・痒みといった外耳炎症状はなくなります、ついでに、マラセチア真菌も少なくなります。


ステップ1

マラセチア真菌が異常に多い場合は、抗真菌点耳薬を使ってマラセチア真菌を減らす

あまりにもマラセチア真菌が多ければ、まずそれを減らす方が得策でしょう。

2週間から4週間ほど抗真菌点耳薬を使えば、マラセチア真菌はかなり少なくなるでしょう。


ステップ2

やさしい耳洗浄液をつかって、耳アカを洗浄して除去する。

マラセチア真菌が減れば、外耳炎を起こしている本当の原因である「耳アカ」を取り除きます。この時、綿棒を使うのは止めましょう。

綿棒は外耳道を傷つけやすく、傷つければそこから耳アカの元となる液体が染み出てきます。綿棒は使わず、耳アカをやさしく取り除く洗浄液を使いましょう。

当院では、鼓膜や外耳道にやさしい「やさしい耳洗浄液」を使っています。界面活性剤を一切含まず、耳アカを除去できる優れものです。


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