
犬の心臓病
column
ただごとじゃない?!ワンちゃんの下痢
『お尻がビチャビチャ!』
お散歩中や自宅のトイレで、うんちがいつもと違うということ…1度は経験があるのではないでしょうか?
ワンちゃんも私たち人間と同じようにお腹を壊すことはままあります。留守にしている間に、おうちが大変なことになった!という声もちらほら。
一口に下痢といっても、原因はたくさんあるということご存じでしょうか?中には生死をさまよう重病なことも?!
今回はワンちゃんの下痢についてのお話です。
原因は?ワンちゃんの下痢

お腹を壊したワンちゃんにあるあるなのが「ペットホテルに預けた」「ご飯を変えてみた」というもの。
お出かけやお仕事でワンちゃんを預けると、いつもと違う環境にワンちゃんがストレスを感じてお腹を壊してしまうことがあります。
また、いつも食べているご飯ではなく、食べたことないものに変えた際にも食べ物が消化できずにお腹が緩くなることがあります。
『誕生日だったので犬用のケーキをあげたら下痢しました…』ということも。食べ物に敏感なワンちゃんには、与えるものを注意しておきましょう。
ワンちゃんのうんちが緩くなった時には、日常生活でこのような変化がなかったか振り返ってみてください。
どちらにも当たらない場合、もう一つ考えられるのが気温の変化です。季節の変わり目などに体を冷やしてしまい、お腹を下してしまうことがあります。
日常生活において起こる下痢は、上記3つが原因であることが多いようですが、お腹の中に虫(寄生虫)がいたり、ウイルスが原因で下痢を引き起こすこともあります。
パルボウイルス感染症やコロナウイルス感染症などワクチンで予防可能なものもあるので毎年1回、ワクチンを接種しておきましょう。
どんな関係?心臓病と下痢

今回、下痢を呈する病気として1つご紹介しておきたいのが「心臓病」です。心臓病と下痢…関係性がピンとこないですよね?
実は以前お話したむくみと大きな関係があるのです。
まずは血液の流れからおさらいです。
左心房→左心室→全身の各臓器→右心房→右心室
血液の流れをざっくりと説明すると、上記のようになります。心臓の右側にトラブルが起こると、心臓から肺へ血液を送り出せなくなるため、全身から戻ってきた血液が心臓の中で渋滞を起こします。
全身から血液は返ってきても、心臓では血液をスムーズに流せない状態が続き、血液の渋滞が体のあちこちで起き始め、血流が悪くなり血圧が上がります。
血液の流れが悪くなると、血液中から水分が滲みだして手足が浮腫んだり、お腹に水(腹水)が溜まったりすることもあります。
もちろんこれは、食べ物を消化してうんちを作る腸でも起こり得ます。腸の血流が悪くなり浮腫むと、食べ物の消化や栄養、水分の吸収ができなくなるので、便が緩くなってしまうのです。
最初にお話しした3つの要因で起こる下痢では、ワンちゃん本人もケロッとしている場合も多いですが、心臓病が原因で下痢をしているときには食欲がない、明らかに元気がないなど他にも症状が出ている可能性があります。
中には入院が必要なほど衰弱していることもあるので、早急に治療が必要になることも。
うんちが緩い!そんな時
ワンちゃんのお腹が緩いときは、一度病院で診察を受けましょう。整腸剤や注射など、状況に応じてワンちゃんのお腹トラブルを解決へと導きます。特に、下痢の症状と併せて嘔吐している、ぐったりして動かないという場合にはすぐに病院へ。
心臓病の症状の一つとして下痢をしている場合、心臓病自体がかなり進行し、ワンちゃんの状態がかなり悪くなっているということも考えられます。
ただ、心臓病というのは飼い主さんの知らない間に症状が徐々に進んでいき、咳や運動不耐などの症状が出て初めて受診するというケースが多いので、歯周病治療中のワンちゃんや、シニア期のワンちゃんでは、定期的に心臓の検査を受けておくことを強くおすすめします。
心臓病を症状が出ていない初期の段階で発見できれば、食餌の変更やサプリメントで対応可能な場合もあります。ワンちゃんに健康で長生きしてもらうためにも、当院で心臓病のチェックしてみませんか?
