
犬の心臓病
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あの病気が関係?急な発熱
お出かけや仕事の予定が狂ってしまう『体調不良』。
ぎっくり腰など体の痛みの場合もありますが、中でも多いのは『発熱』ではないでしょうか?風邪をひいたり、インフルエンザにかかったり…熱が出る原因はいろいろありますよね。
そんなとき私たちは、なんとなく心当たりがあって薬を飲んだり、病院に行って治療してもらったりしますよね。
ではワンちゃんは?ワンちゃんに発熱の症状が出ているとき、どんな病気が関係しているのでしょうか?
今回はワンちゃんの『発熱』についてお話ししていきます。
考えられる原因はたくさん!

突然ですがワンちゃんの平熱、何℃ぐらいあるかご存知でしょうか?
個体差はありますが、37.5℃~39℃と言われています。小型犬では38℃~39℃と高めであるのに対し、大型犬では37.5℃~38.5℃と低めです。
私たちの体温を軽く超えているので、寒い日にワンちゃんを抱っこして『あったかい…』と感じた飼い主さんも多いのではないでしょうか?
もちろん、ワンちゃんによって異なるので日ごろから愛犬の体温をチェックしておくと良いでしょう。
いつもは元気なワンちゃんも、急に熱を出すことがあります。人間だと冒頭のように原因がいくつか思い浮かびますが、ワンちゃんも同じように、発熱を引き起こす病気には様々なものが考えられます。
細菌やウイルスが原因の感染症だったり、膵炎や肝炎といった臓器の炎症だったり、自己免疫性疾患やガンの場合もあります。また、暑い季節では熱中症ということも。
本当にいろいろな病気が考えられるのですが、中でも怖い病気を一つだけご紹介しておきます。
あの病気と感染症?

先ほど、発熱の原因に『感染症』を挙げましたが、細菌感染で引き起こされる病気の一つに『心内膜炎』というものがあります。
これは細菌が体の中に入り込み、心臓に到達して心臓の弁を破壊するというものです。
細菌が体の中に入り込むとき、ケガや皮膚のひっかき傷などから体内に侵入する…ということも考えられますが、より感染のリスクが高いのは、歯周病を起こしている場合です。
口臭や歯石の原因になる歯周病菌は、歯肉を攻撃して腫れあがらせるだけでなく、腫れた歯肉の中に潜り込んで、血管に入り込みます。
歯周病菌が血流にのって心臓までたどり着き、弁にくっついて増殖することで、弁が正常に働かなくなります。
細菌が体の中に入り込むため、急に高熱が出る・微熱が続くといった発熱症状が出るほか、弁が動かず心臓内で血液の逆流が起きるため、様々な症状を引き起こします。
定期的な検査・チェックを
熱が出ていてぐったりしている、元気がないといった症状が出ているときは、すぐに病院で診察を受けましょう。前述の通り様々な病気が考えられますが、今回紹介した心内膜炎の場合、弁にくっついた菌や血液の塊ができ、血流に流されて他の血管を詰まらせることもあります。
また、お口のケアをしたことがないワンちゃんも気を付けておかなければなりません。歯周病はあっと言う間にワンちゃんのお口の中をボロボロにしていくだけでなく心臓にもダメージを与えます。
お口トラブルがある場合は早めの受診を。気になるところがなくても、年1回はチェックしておくことをおすすめします。
当院では心臓の各種検査(血液検査・エコー検査・レントゲン検査)や歯周病菌のチェックを行っています。詳しくはスタッフにお尋ねください。
