犬の椎間板ヘルニア
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突然起きる症状で?!ヘルニアの手術
『急に足が立たなくなっちゃった!』椎間板ヘルニアで見られる症状の1つですが、場合によっては手術が必要になることも。
元気だったワンちゃんが突然手術を受けるとなると、費用や入院についての不安が飼い主さんにのしかかると思います。
どの状態になったら手術しなくちゃいけないの?
入院はどのくらいの期間するの?
今回は椎間板ヘルニアの手術に関するあれこれ、お話ししていきます。
対象はグレード5
同じ椎間板ヘルニアでも、軽度のものから重度のものまで症状に幅があります。すべての症状で手術が必要になる…というわけではありません。
どのような症状が出ると手術対象になるのでしょうか?
以前、椎間板ヘルニアのグレードについてお話ししたと思います。グレードは5つあり、手術対象になるのはグレード5の症状が出ている場合です。
グレード5の症状と言えば、グレード4で見られる『足先をつねると痛みを何とか感じることができる』という症状が進行して、『痛みを感じなくなる』というのが大きな特徴です。
足先を強くつまんでも何の反応も示さない…このような状態になったら手術が必要です。症状が現れてから48-72時間以内に手術をすることが望ましいと言われています。
この時間を過ぎてしまうと、手術しても十分に回復せず麻痺が残ることがあります。
手術から退院まで
では実際に、手術が必要になったらどのくらい費用が掛かるのでしょうか?費用のお話をするために、今回は手術の流れも一緒にご紹介します。
まず手術を始める前に、ワンちゃんの身体にトラブルが起きていないかを血液検査でチェックし、麻酔をかけて行う造影検査で、トラブルを起こしている椎間板の箇所を特定します。
検査が終わったら、手術開始です。問題を起こしている椎間板を取り除き、神経の圧迫を解消させます。
手術が終わったら、温湿度や酸素濃度が管理できる犬舎で入院生活が始まり、点滴や注射でお薬を投与していきます。
状態にもよりますが、入院は1週間前後を予定することが多く、入院中からリハビリも始めていきます。
退院予定日になったら、感染症などを起こしていないかを再び血液検査でチェックして退院となります。
退院後は、自宅でお薬を飲みながらリハビリを行い、通院で状態をチェックしていきます。
これが手術から退院までの大まかな流れになります。あくまでも一例に過ぎず、ワンちゃんの状態によってはスケジュールが変わることも多々あります。
また、ワンちゃんの体重や状態によって金額は変わってきますが、これらの検査や手術、入院と管理を合わせると、約25万円の費用が掛かることになります。
手術にならないように
椎間板ヘルニアは手術で治せる病気ではありますが、手術にもリスクが伴います。手術では全身麻酔をかけるため、健康状態に問題がないワンちゃんであっても、麻酔から覚めずに亡くなることもゼロではありません。また、手術が成功してもリハビリを疎かにしていては、歩行機能の回復はどんどん遠のいてしまいます。リハビリも忘れずに頑張りましょう。
椎間板ヘルニアで手術が必要になると、飼い主さんの負担は相当なものになります。大切なワンちゃんが手術を受けなくてもよいように、日ごろからしっかりと予防していくことが大切です。
ワンちゃんとスキンシップを取る際に、足まわりが滑りやすくなってないか太ってコロコロしてきてないかなど、ちょっとしたことチェックして異常があれば病院で相談するとよいでしょう。
また、手術はしていないけど痛みを繰り返すという場合はサプリメントを飲んだり、ひどくなる前にレーザー治療を受けたりしてもいいかもしれません。
突然の手術にならないように、あなたの手でワンちゃんを椎間板ヘルニアから守ってあげましょう。