
犬の椎間板ヘルニア
column
動かして回復!ヘルニアのリハビリ
突然やってくる椎間板ヘルニア。
『足を引きずっている』『後ろ足が立たない』など、重度の時の症状を目の当たりにするとギョッとしますよね。
昨日までひとりで歩いていたのに、もう二度と歩けないの?足はどうなっちゃうの?と不安は募るばかり。
でも大丈夫。ワンちゃんも『リハビリ』をすることで、元の生活を取り戻せる場合があります。
ワンちゃんの『リハビリ』、一体どんなことをするのでしょうか?
なぜリハビリが必要?

椎間板ヘルニアでダメージを受けるのは背中を走っている太い神経です。
神経から出る信号が手足の先まで伝わらなくなるので自分の意志で自由に動かすことが困難になります。
すると、足腰にしびれが出たり、筋肉や関節がうまく動かなくなったります。
ヘルニアのグレードのお話、覚えているでしょうか?
力が入りにくくなることで足がもつれたり、ふらつきながら歩いたりするのはグレード2からでした。
グレード2以降は徐々に神経症状が強く出るようになるので足を引きずる、立てないなど状態は悪化していきます。
内服薬やレーザー、手術などで状態を改善させますが『歩けない』といった症状はすぐに改善するようなものではありません。
そこで登場するのが『リハビリ』です。一体どんなことをするのでしょうか?
こんなことしてます。リハビリのあれこれ

ヘルニアによって力が入りにくくなった足の筋肉や神経を刺激して、元の生活に戻れるように機能回復を図ります。
今回は、当院でも実施しているリハビリをちょこっとだけ紹介します。
反射の誘発
手術前はつねっても反応しなかったワンちゃんの足も、手術して神経からの信号を受け取れるようになると、反応を示すようになります。足全体が伸びるように、足先を軽く持って引っ張ります。指の間の皮膚を摘まむと、伸ばした足を引っ込めるように反射が起きるのでこれを繰り返します。
起立訓練
ギリギリ手術は免れたけど、自力で立てない子や手術後のワンちゃんで実施することが多い訓練です。訓練というとお固い感じですが、ひとりで立つための練習です。ワンちゃんの腰を優しく持ち上げて、前足後ろ足をきちんと地面につけます。そのまま放すと倒れてしまうので、倒れないように人の手で補助します。
このようにして、立っているときの姿勢を覚えてもらいます。
屈伸運動
最初はフラフラだったワンちゃんが、ひとりで立てるようになったら行う訓練です。今度は立っている姿勢のまま背中側から腰を垂直に押します。ワンちゃんが自分で腰を上げようと力を入れて押し戻してくるのでこれを繰り返します。
また、横に倒した状態で、足先を持って曲げ伸ばしを繰り返し行います。
リハビリが必要かどうかは、診察でワンちゃんの状態を診てみないと判断できません。また状態によってリハビリの方法は変わってきます。
ワンちゃんの状態によっては、リハビリをするのを控えた方がいい場合もあります。症状でお困りの場合はまず診察を受け、自己判断での実施は止めましょう。
心を鬼に!!!
リハビリ指導を受けたら、伝えられた回数と頻度をしっかりと守りましょう。順調にリハビリが進み、お散歩OKになるとワンちゃんが自身の足で室内を移動したり、坂道を上り下りしたりすることでも回復に役立つことがあります。でも大きな病気を患った後は、何かと飼い主さんがお世話を焼きがちですよね。中には飼い主さんのヘルプを待って自分で動こうとしない子も!!
ワンちゃんが自分で動く機会や、リハビリの回数が少ないと回復までのゴールは遠のいてしまいます。
少し辛いですが心をガッツリ鬼にして、日常生活の補助はそこそこに、リハビリは根気強く続けていきましょう。