犬の椎間板ヘルニア
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しっかり固定!コルセットのお話
繰り返す『椎間板ヘルニア』。
せっかく治ったと思ったら、また再発…。これを繰り返すワンちゃんも少なくありません。不在にしている間、飼い主さんの目が届かないときに痛めるといったケースも。
そんなワンちゃんの飼い主さんなら、1度は検索したことがあるかもしれません。そう、ワンちゃん用の『コルセット』です。
コルセットって何?どんな効果があるの?
今回はそんなコルセットの謎をちょっとだけ探ってみましょう。
姿勢をキープ!!!
以前、椎間板ヘルニアの予防についてお話しした際に、『ジャンプ』は椎間板に負担がかかるとお伝えしたのを覚えているでしょうか?
実はジャンプ以外にも、椎間板が存在する背骨には不得意な動きというものがあります。
それは『ねじれること』と『曲がること』です。
ねじれる…ちょっとピンときませんよね。
布巾を絞ったときの形をイメージしてみてください。
ワンちゃんも、仰向けに寝転がって遊んでいるときに
上半身は右、下半身は左を向いてくねくねしていること、ありますよね。これがねじれている状態です。
続いて、曲がること。
猫背というのも曲がることに相当しますが、ワンちゃんを上から見下ろしたときアルファベットの『C』のように左半身は伸びていて、右半身は縮んでいる状態です。
ジャンプもさることながら、この二つの動作は主に遊んでいるときや、全身を使って動いたときに取りやすい姿勢のため、こういった動きに弱い椎間板には、大きな負担になります。
ヘルニアの治療中や治療が終わってしばらくの間は、ジャンプと共に注意したい姿勢です。
コルセットのあれこれ
でもこの動きや姿勢は日常茶飯事で、このためだけにわざわざケージに入れるのも可愛そうですよね。そんなとき身体をしっかり固定して、こんな動作をセーブして姿勢をキープできるのがコルセットの役割なのです。
金属や樹脂のプレートが入っており、身体に巻き付けてマジックテープやバックルで止めるようになっています。
そんなコルセットには、既製品のものと採寸して作るオーダーメイドのものとあります。
それぞれ見ていきましょう。
まずは、既製品のコルセット。
こちらはネットで購入することができます。
お値段がお手ごろで、どんな子でも合うようにサイズが設定されているので、ワンちゃんの身体に合ったサイズを選ぶと良いでしょう。
当院で歯石取りをする際、椎間板ヘルニア歴があるワンちゃんには、既製品のコルセットを着けて実施することで、再発や悪化を予防しています。
ただし、既製品という性質上、いざ装着してみると緩かったり、長さがちょっと足りなかったりと不具合がでることもあります。
では、オーダーメイドはどうでしょう?
こちらは病院で、ワンちゃんの身体のサイズを何か所か計測して注文します。その数値をもとに、ワンちゃんの身体にピッタリなコルセットが作られるので、出来上がるまでに少し時間がかかり、お値段が張るのがネックです。
しかし、既製品と違うのがなんと言っても『フィット感』。ワンちゃんひとりひとりに合わせて作られているので、しっかりと固定することができ、装着後に締まり具合いを微調整することも可能です。
院長先生のワンちゃんをはじめ、腰の痛みを繰り返すワンちゃんを中心にじわじわとユーザーが増えつつあります。
慣れるまで時間が必要なことも
コルセットは身体を固定することで動きをセーブするほか、リードを引っかけて吊り上げることで、歩行のリハビリをすることもできます。便利である一方で、初めのうちは慣れない子も。
コルセットを着けたら、その場に立ち尽くして動かなくなっちゃった…そんなワンちゃんもいるようです。
じきに慣れますが、着用を短い時間から始めてみたり、コルセットを着用してお散歩に出かけて気を紛らわせてあげましょう。もちろん、運動厳禁の場合は、自宅で安静に。
当院では、オーダーメイドのコルセットを取り扱っております。コルセットを作ろうかな、コルセットについて詳しく聞きたい…などございましたら、お気軽にスタッフにお声掛けください。