犬の椎間板ヘルニア
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軽度から重度まで!椎間板ヘルニアのグレード
背中を丸めて『なんだか調子が悪い…』そんな空気を醸し出すワンちゃんもいれば、歩けない・おしっこを漏らしている…といったワンちゃんも。
そんな症状を見て、飼い主さんが『真っ青』になるような病気…それが椎間板ヘルニアです。
様々な症状が出る病気ですが、実は出ている症状によって病院では重症度を判別することができるんです。
今回は椎間板ヘルニアの重症度(グレード)について見ていきましょう。
症状いろいろ
以前の記事でお話ししたように、椎間板ヘルニアは『食欲がない』といったものから『後ろ足に力が入らない』というものなど様々な症状が出ます。
同じ病気なのに、ここまで症状に差が出るのはなぜでしょうか?
椎間板ヘルニアは、椎間板が飛び出すことによって神経が圧迫されることで起きる病気ですが、神経が受けたダメージによってその症状が異なるのです。
ダメージが小さい場合は、腰や首に痛みが出る程度ですが、神経が大きなダメージを受けると、身体を動かすために出ている神経からの信号をキャッチすることができなくなるため、足が動かなくなったり、立てなくなったりといった症状が出るのです。
そのため、自分で動くことができるワンちゃん、自分では動けないワンちゃんなど、同じ椎間板ヘルニアでも状態が異なるのです。
『痛い!』から『無反応』まで。ヘルニアのグレード
ワンちゃんの症状によって、椎間板ヘルニアがどのくらい進行しているのか…つまり重症度(グレード)を知ることができます。
グレードは5段階に分けられています。
早速見ていきましょう。
グレード1:痛み
一番軽度と言われる段階。軽度と言っても、抱き上げたときに『キャン!』と鳴くなど痛みが強く出ている段階でもあります。
立ち姿を見たときに、痛みで背中がアーチのように丸くなっていることも。いつもはできる運動をしたがらないのも痛みによるもの。
グレード2:ふらつき
痛みから痺れに変わってきた段階。歩くことはできるけど、力が入りにくいため後ろ足がもつれる、ふらつきながら歩くといった状態です。
足先を引きずることもあるため、爪周りや足の甲が擦れて毛がなくなることも。
グレード3:麻痺
しびれから麻痺に変わってきた段階。後ろ足に力が入らず、ひとりでは立てない状態に。
人が補助することで立つのがやっとなので、歩き回るときは後ろ足を完全に引きずり、前足だけで進んでいきます。
麻痺してはいますが、足先をつねると痛みを感じることはでき、自力でおしっこをすることもできます。
グレード4:おしっこができない
人の手を借りても立つことができなくなります。自分の意志でおしっこのコントロールができなくなるので漏らしてしまうことや、逆に溜めていることも。
足先の痛みは、なんとか感じることができます。
グレード5:痛みの消失
椎間板ヘルニアの症状の中でも最も悪い状態。ひとりで立つこともトイレもままならず、かすかに感じていた足先の痛みもなくなってしまい、強くつねっても無反応になります。
おかしい…と思ったらすぐに。
グレードを見ていく中でもわかるように、神経へのダメージが大きくなればなるほど、ワンちゃんの症状も深刻になります。大事なのは、早く治療を始めること。
今グレード1の状態でも、何もせずにいると次の日にはグレード3ぐらいまで悪化するといったケースもあります。
状況にもよりますが、グレード3で入院が必要なこともありますし、グレード5の場合は手術をしなければなりません。
自己判断は避け、異変を感じたらすぐに病院で診察を受けましょう。