
犬の歯石取り
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市販とはひと味違う?病院のケア用品
歯周病や歯周病予防の自宅ケア、始めていますか?市販の歯磨き粉を使って、歯磨きを頑張っている飼い主さんもいるのではないでしょうか。
お口の中に悪い細菌がたくさんいる状態だと、歯周病にもなりやすくなります。自宅で使っている歯磨き粉には、菌をやっつけるようなパワーを持ってますか?
今回は病院でお渡ししているケア用品についてお話ししていきます。
歯石の原因は『細菌』

歯周病の原因は細菌であるということは以前のブログでお話ししたと思います。
細菌が集まってドロドロの塊(歯垢)やお口のネバネバになり、唾液のカルシウム分が沢山くっついて石(歯石)になります。
歯垢や歯石をそのままにしておくと、細菌が歯肉を攻撃し始めるので、歯肉が腫れたり出血したりとトラブルを起こします。
診察室で自宅のケアをお伝えするとき、磨き残している部分を中心にお話をすることがあります。
磨き残しているところ=歯垢が残っているところなので、磨き残しとしてそのまま放っておくと先ほどお話ししたトラブルの種になってしまうのです。
ここで大切なのが歯を磨くことはもちろん、『菌をやっつける』こと。歯周病の原因になる細菌の量が減れば、それだけリスクも減ります。
菌をやっつける。歯磨き剤とお薬
歯周病の原因になるのは、主に桿菌とカビ菌。(この2つの菌についてはこちら)この2つの歯周病菌に対して、病院では2つのケア用品を使ってやっつけることをお勧めしています。
ペリホワイト

白っぽい歯磨き剤。2つの歯周病菌のうち、主に桿菌をやっつける担当です。天然成分による殺菌効果の他にも、歯石を柔らかくして壊しやすくする効果もあります。
指で直接塗ってもOKですが、歯ブラシにとって優しくこするとより一層効果的。
AHCM

オレンジ色のお薬。歯周病菌のうち、カビ菌を殺菌します。
元々は人間の歯医者さんで使われているお薬で、口に含んで濯いだ後飲み込むという使い方をするお薬ですが、ワンちゃんに口をゆすいでもらうのは難しいため、指で直接塗って使っていきます。
カビ菌は髪の毛のような繊維状の細菌なので、モップのように他の菌を絡み取りやすく、歯周病の温床となってしまいます。しっかりとやっつけていきましょう。
ぺりホワイトやAHCMで歯周病の原因菌を減らせたら、お口のネバつきやニオイ、歯垢の量が徐々に減っていきます。
これで口の中も平和に…と思うかもしれませんが、ここで安心してはいけません。
2つのケア用品を使って歯周病菌が減っても、その後もケアを続けなければまたあっという間に歯周病菌まみれの汚いお口に逆戻りということも。
キレイになってもケアは継続し、歯周病菌を増やさないようにしましょう。
理想は歯周病菌が少なく、善玉菌がたくさんいるようなお口です。善玉菌を増やす方法についてはまた後日・・・。
その歯磨きで大丈夫?
ここまで当院でお渡ししている歯磨き剤やお薬についてのお話を進めてきました。もちろんワンちゃんの歯磨きの練習として市販の歯磨き剤を使用するのも一つの手です。しかし歯周病菌が口の中にいる場合、それだけでは力不足であることもあります。
自宅では市販の歯磨き剤を使っているけど大丈夫かな?と思った飼い主さんもいると思います。
そんな時は当院で一度歯周病菌のチェックをしてみてはいかがでしょう?歯周病菌が見つかれば、前述の2つのケア用品をお渡しすることもできます。
ワンちゃんのお口の中の環境は、気づかないうちに悪くなることもしばしば。気になったらその時がベストタイミングだと思って、病院でチェックをしてみませんか?