犬の歯石取り
column
飲み水でお口のケア?
私たち人間が日常生活に欠かせない『水』。ワンちゃんはもちろん、他の動物でも同じことが言えます。水を飲まなければ、生きていくことはできません。
突然ですが、今一緒に暮らしているワンちゃんはお水を飲みますか?お水を飲むことと歯石の付着は実は少しだけ関係があることをご存知でしょうか?
また、最近はケア用品でもお水に混ぜるタイプのものが販売されていますが、その効果も気になりますよね?
今回は歯石とお水にまつわるお話です。
飲むといい?お水の効果
毎日ワンちゃんにお水、あげてますか?どのくらい飲んでいるか把握していますか?
この『飲んでいる水の量』は、ワンちゃんの歯石と関係があることをご存知でしょうか?たくさん飲む子ほど歯石が付きにくいのです。
以前のブログで、ガムを食べさせると唾液が沢山分泌されて歯垢が洗い流されるというお話をしました。
お水もたくさん飲むことによって、唾液と同じように歯垢を洗い流します。そのため、飲水量が多い子ほど歯垢が付きにくく、歯石にもなりにくいというわけですね。
ここまで読んで『うちの子も飲み水を増やしてみよう!』と考えるかもしれません。実際に飲み水の量を増やしてみたものの、全然飲まないということがよくあります。
私たちもお茶やコーヒーなど水分を取りますが、のどが渇いていないときに1.5Lのペットボトルを飲み干すように言われても飲めませんよね。
ワンちゃんは飲み水の他に食事でも水分を取るため、手作りご飯や缶詰のご飯では水分量が多く、ドライフードに比べてお水をあまり飲まないということもあります。
また、すでに歯垢や歯石が溜まっている状態では、お水をたくさん飲ませることで得られる効果は微々たるものだと思います。
特に歯垢が石になっている場合、飲水だけではほぼ除去することはできないので、歯石取りを視野に入れてケアをしていく必要があるでしょう。
かぶ飲みできる?『水に混ぜる』難しさ
そんな中、手に入れやすく使い方が簡単な『飲み水に混ぜるだけ』のケア用品が販売されています。種類が豊富で中に入っている成分も様々ですが、その効果は限定的です。
以下のような場合は効果が出にくく、問題の解決にはならない場合があります。
- 歯石がびっしりついている場合
- お水を飲む量が少ない場合
- 歯周病菌を殺菌する成分が入っていない場合
日ごろから水を飲む量が少ないと、お水に混ぜて飲ませるケア用品の成分を十分に取り込めず、効果が出にくいかもしれません。
口臭や歯垢の原因となるのは、主に歯周病菌です。手持ちの「水に混ぜて飲ませるアイテム」に歯周病菌をやっつけるような成分や、歯周病菌の働きを抑えるような成分は入っていますか?
成分が入っていなくても水に混ぜて飲ませてから、口臭が減ったと思われるかもしれませんが、他の成分による一時的な効果ということもあります。
原因である歯周病菌が残っている状態では、臭いや汚れは生み出されます。
出来れば直接的なケアを
お水をたくさん飲んだり、お水に混ぜて使うケア用品でお口のケアが完了できればいいのですが現実、そうはいきません。個体差はありますが、溜まりやすい子はあっと言う間に歯垢が溜まり、口臭や歯石の原因になります。ガムと同じく補助的に使用し、歯ブラシなどを使用した直接的なケアをお勧めします。
当院では自宅での歯磨き指導も行っていますので、1度お話をお聞かせください。また、ワンちゃんが1日に必要となる水分量を計算してお伝えすることもできます。
今回のお話で『お水、どのくらい飲んだらいいのかな?』と思った方も併せてご相談ください。